3泊4日で旅に出る会社員の旅ブログ

会社員でも旅に出たいをテーマに、サラリーマンの吉川が、駐在するメキシコを中心に旅した記録をつづります。チアパス州の奥地にあるエバーグリーン牧場を舞台に繰り広げられる人や動物との出会いが第1作目です。

16話 納屋風小屋を独り占め

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納屋風小屋(Barn Wood House)は最大4に泊まれるけれど・・・

ところで16歳の長女ゾエは、今僕がさっさと離れてきた、この近辺で1番大きな観光地であるサン・クリストバルの町に、フランスから来たおばあちゃんと泊っていてその日は不在だった。

リヨンに住むおばあちゃんは、田舎暮らしが嫌いだから、メインの宿はサン・クリストバルにしておいて、クリスマスの間だけ家族に会いにエバーグリーン牧場にやってくる。だからゾエとおばあちゃんの2人に会えるのは、2日後のクリスマスイブということになる。

すごく楽しみだ。

ステファニーに連れられて、僕は自分が泊まる「納屋風小屋」に向かった。母屋から庭の芝生を通って100メートルぐらい離れた場所に、シンプルな木の小屋がある。入り口を入るとまず共通のキッチンがあり、そこから左右に部屋が1つずつある。生木がむき出しの壁で囲まれた部屋に僕は通された。

「これがあなたの部屋。ベッドはどれを使ってもいいよ」

と言いながら2段べッドと、壁に畳まれているクイーンサイズのベッドをおろして見せてくれた。

こうして壁に収納されたからくりベッドを手前に出せば、最大4人で泊まれるわけだ。だから僕に、ベッドを1つ予約するのか、それとも部屋全体を借りるのかと聞いてきたのだ。でも、この狭い部屋でいろいろな国から来た旅行者と相部屋で過ごすのは、元人見知りの僕にはまだハードルが高い。

もう一つの、共有キッチンから入って左側の部屋は、宿泊客用に使うこともあるが、どちらかと言えば大工仕事などを手伝いに集まるボランティア用に用意されたものだ。2段ベッドが左右に並んでいてこちらも最大四人が寝泊まりできる。

この納屋風小屋は、すべてだんなのサムエルが1人で建てた小屋だという。手作り感があふれていて木の匂いがぷんぷんする。

続いて小屋の裏側にあるトイレとシャワーに案内された。シャワールームは1人がぎりぎり入れる広さだが、小さな脱衣所も用意されているから体を洗うには十分だ。昼間に入ればボイラーのタンクが日光で温まり、ちょうどいいお湯が火を点けなくても浴びられるという。そして日が暮れれば薪をくべ、温水を用意する。そして薪はステファニーやサムエルが焚いてくれる。

 薪でシャワー用のお湯を温めたことはあるが、昼間の太陽の熱だけで勝手に温水が出るというのは、僕も未経験の究極のソーラーパワーシステムだ。確かにこの円筒状のボイラーに降り注ぐ太陽光を遮るものは周りに何も見当たらない。