スリルと胸のすくような爽快さを味わった、この森の中の乗馬ツアーは結局一時間半ほど続いた。そして日が傾き始め、山から牧場に戻る砂利道で、馬から降り、歩きながら手綱を引くサムエルがぼそりと言った。
「乗馬は数をこなさないと一人前にはなれないよ。そうだな、まずは百回だ。その間にたぶん三回か四回は落馬するはずだ。そうやってうまくなっていくんだよ」
確かに百回馬に乗るのは楽しいだろうけれど、馬から落ちるのはごめんだと、その日の森の中の様子を思い出しながら僕はつくづく思った。本当に落ちたら松の枝が背中に刺さり、きっと痛くて動けなくなるに決まっている。
もしかしたら、後ろから来た馬に踏んづけられるかもしれない。でも、そんなリスクも含めて、パートナーのネイライダの背中に乗せられ、森の中で過ごしたひとときは、相手がどう思っているかはさておき、ずいぶん素敵な体験だった。チアパスの美しい原生林の中を、馬に乗って駆け巡るなんてなかなかできるものではない。
一日のセッションのすべてが終わり、スウェーデンから来た二人は、宿があるサン・クリストバルまで戻っていった。口伝えで広がるエバーグリーンの噂は、また彼らが行く旅先で、じわじわと広がっていくに違いない。
バーニャとデイビッドが自分たちの部屋に戻り、僕も一度小屋に戻ってシャワーを浴びた。薪はサムエルが割って焚いてくれた。夕方の澄んだ冷気の中で、熱い湯気が小さな空間いっぱいに立ち込めた。もちろん、沼地で足にこびりついた泥もすっかり落とした。