3泊4日で旅に出る会社員の旅ブログ

会社員でも旅に出たいをテーマに、サラリーマンの吉川が、駐在するメキシコを中心に旅した記録をつづります。チアパス州の奥地にあるエバーグリーン牧場を舞台に繰り広げられる人や動物との出会いが第1作目です。

第62話 エバーグリーン式 タクシーのつかまえ方

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母屋の外にはいつもスクービーがいた

 

食事もすべて済ませ、ステファニーにタクシーを呼んでもらうよう頼んだ。

だけど、この宿がいつも声をかける隣村の運転手は、ボイスメッセージを送ってもいっこうに返事をしてこない。結構真面目なおじさんだと聞いていたが、ステファニーの見立てどおり、前夜のクリスマスイブでどの家もパーティをしていたはずで、ほとんどの村人はまだ起きていないのだろう。

仕方ないので前日のゲストだったドイツ人のセバスチアンに声をかけてくれることになった。その日彼が用事でサン・クリストバルまで行くので、そこに便乗してはどうかとステファニーから提案があったのだ。セバスチアンはその朝ドイツ人宿泊客三人をサン・クリストバルまで連れて行くというのだ。

 

ステファニーが携帯電話からボイスメッセージを送信し、返事を待つと、間もなくセバスチアンから返答があった。

 

「十時半でよければ、喜んで乗せていくよ」

 

だけど僕はいつでも出られるように、もう身支度を済ませていたので、これから一時間も待つ気はなかった。

ああだこうだと二人で考えていたら、思い立ったようにステファニーが外に出て行き、間もなく母屋の裏でタクシーを捕まえて戻ってきた。牧場の脇の道でタクシーを止めることにまんまと成功したようだ。

たまたまその運転手はサン・イシドロ村まで乗客を乗せてサン・クリストバルから来たところで、誰も乗せずに回送するところだった。だから、料金だって二百ペソ(千二百円)で、サン・クリストバルまでダイレクトに向かってくれる。乗り合いタクシーを乗り継いだ往きより当然少し高い。だけど一番近いベタニア村まで一人でタクシーに乗ると百五十ペソかかるのだから、相場よりはだいぶ安い。

僕はそのタクシーに乗ってサン・クリストバルを目指すことを即決した。これを逃すと今度いつどこで車を捕まえられるか分からない。何しろクリスマスなのだ。

娘たちシャヤンやゾエ、それにクリスティーナおばさんはまだ寝ているみたいだし、三日間一緒に乗馬を練習したバーニャやデイビッド、特別ゲストのイギリス人マットとも挨拶はできなかった。だけどまあ、いつかどこかで会える日がきっと来るに違いない。